【書評】新所得倍増論
こんにちは、好奇心夫婦の又蔵です。
デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論を読んでみました。
★★★☆☆
本書をまとめると
「日本は人口が多いために経済大国になったが、一人当たりの生産能力は未だ低く、成長の余地がある。成長する為には、①現在は生産性が低い事を認識し、②改善のための一歩を踏み出すことである。その改善策として筆者は、年金機構などを用いた株式の買い上げにより上場企業に対する政府の発言権を強める"株式市場プレッシャー仮説"を採用し、企業の生産性向上を促す事を提案する。」
となる。
【日本は生産性が低い!】
日本がこれまで成長出来たのは、戦後のベビーブームによる人口の増加が主要因である。
日本は小さい島国ながら、多くの人口抱えている。
そのためGDPで考えた経済規模は現在でも世界第3位を維持している。
ただし一人当たりの生産性はイタリアやスペインよりも低い。
輸出額も、規模で見れば世界第4位であっても、一人当たりで見ると世界第44位となる。
同じようなことが、研究開発費、ノーベル賞受賞者数、オリンピックの金メダルの数、など様々なことにおいて言える。
このままでいいんですか???
日本人、日本文化にはこんな問題がありますよ?
改善を阻む要因はこれだけありますよ?
というのが、これでもかと挙げられているのが本書である。
【どうすりゃいいの??」
このままでは今後、少子高齢化により人口が減少する日本において日本は衰退の一途をたどることになるだろう。
GDPが生産性×人口で表せられることから、日本の衰退を抑止するためには生産性を向上させるか、人口を増やすしかない。
生産性向上を阻む問題は経営者である。
経営者は、データに基づいた合理的な判断を行い日本人の生産性を向上させるべきである。
では、どやって??
それについては、具体的な方法について本書ではほとんど述べていない。
もう少し具体的な対策について深い考察と多様な意見が欲しいところではある。
【所感】
考えられる事として、これからの日本の会社は、国内市場だけに目を向けるのではなく必ず海外に向けて競争優位性のある製品を開発製造し、輸出することが求められる。
その為には、経営者はもちろんの事、社員一人ひとりも現在の日本の状況を知り、その上で海外に打って出る事が必要なのではないだろうか。
むしろそのようなことができる会社は、今後の人口減少社会においても成長し続けることができるのではないだろうか。
まずは保守的にならず、過去の栄光にすがらず、現状の日本を本書を通じて見つめてみませんか?