好奇心夫婦

ワクワクする(好奇心を刺戟する)生活に挑戦する夫婦のブログ。夫(又蔵):中小企業診断士・書評等を担当。妻(ハナ):節約・家計管理等を担当

【書評】山口組分裂と国際金融 -インサイダーが明かすヤクザとカネと世界経済の関係

”最も効果の高い学びとは、自分と正反対の考え方を知ること”

 

こんにちは、又蔵です。

今回は、

山口組分裂と国際金融 -インサイダーが明かすヤクザとカネと世界経済の関係-

を紹介したいと思います。

 

 

題名の通り暴力団「お金」の話がメインの本ですが、暴力団の一般?知識国際情勢まで幅広い内容ついて書かれています。

「ヤクザという存在の是非は別にして、表社会のみならず裏社会も経済を構成する一つの主体であり、その集合体が社会全体であると思っている。」(本書の、”おわりに”から抜粋)

本書によると、OECD地下経済は名目GDPの12~15%で、日本で言えば60兆から75兆円になると言われています。これだけの規模があれば、当然、私たち一般人の生活にも関係しているはずです。日本のこと、世界のことをもっと深く理解するためにも、私たち一般人と正反対の考え方や行動様式について理解を深めてみませんか?

 

以下に、本書を読んで個人的に興味深かった事を共有します。

本は読み手により受け止め方が異なりますので、興味を持った方は一読してみてはいかがでしょうか。

 

 

「暴力」こそがすべての源泉

暴力を武器に、

  • インサイダー取引(人的繋がりで、2006年のライブドア事件も日本放送買収や地検の捜査開始も事前に知っていた)
  • 葬儀屋(大量に仕入れをして、手形の日付の日に倒産する)
  • 金貸し(焦げるリスクも予審審査ではなく、暴力で解決)

など様々なシノギを行う。暴力を働くのには、お金(資金)も必要なので、暴力とお金は表裏一体。

 

ヤクザの世界は一般社会より厳しい

3~4割はドロップアウトする印象らしい。そもそも、「暴力団は落ちこぼれ、世間になじめない人間のよりどころになっている」(P.201)。なのに一般社会より厳しいとは。。。また、「お金を持っているヤクザはどうやって辞めようかを常に考えている」(P.202)そうです。厳しい世界です。。。

 

ヤクザの世界はルールがある

〇〇一家と名乗るように、擬似家族制度形式である。この擬似家族制度を媒介するのが「盃」。親子盃や兄弟盃がある。筋論という全国統一ルールがある。なので、破門状などは基本的には全国の団体に送られる。因みに海外マフィアはこのようなルールがないので、何でもありだそうです。

 

博打は今でも盛ん

今でも「常盆」といって、関西には毎日やっている伝統的な賭博場もある。競馬のノミ、野球賭博などもまだまだ盛ん。 

 

三者割当増資で大儲け

虚業を行なっている後ろ暗い会社が狙らい、増資時に企業と事前に話をして、裏でお金をキックバックすること(取得価格の実質的な割引)、受け取った株券を市場で売る際に株価を釣り上げる操作をすること、を約束させる。

 

規制との戦いと規制緩和の恩恵

1991年 暴対法施行:みかじめ料による資金調達が困難になり、フロントが盛んになる。

1996年 橋本龍太郎政権による金融ビックバン ヤクザの金が海外(ドル)へ逃避。マネーロンダリングのやり方は銀行員と会計士が教授。また、投資顧問業などの許認可を取得して合法的に資金を集められるようになる。

2006年ごろ 東証が導入した新ルールで、第三者割当増資などで企業にお金を入れにくくなる。現金決済もしにくくなる。徐々に電子化が進み、活動がしにくくなる。

 

読んだ感想

とにかくバイタリティと行動力がすごいです。ただ、新たな付加価値は産まないし、違法行為や暴力行為も行う。本書では存在の是非ではなく、その奥にある普遍的な意味を読み取りたいですね。世界の見方が少し変わってくると思います(特に経済や国際情勢)。

”最も効果の高い学びとは、自分と正反対の考え方を知ること”

自分と正反対の考え方を知って見ましょう!

 

ではでは。