【書評】このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法
今回は
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む転職の思考法
北野 唯我 著
を紹介します。
本書は、題名にもある通り「思考法」の本であり、転職のイロハやテクニックが書かれてはいません。そのような小手先の技術ではなく、転職だけに限らない人生の歩み方(の思考法)にまで踏み込んだ一冊です。
皆さんは今の仕事で給料が半分になっても今の仕事を続けますか?
大半の人は、「ノー」と答え、転職するというでしょう。
それはつまり、大半の人は「お金で自分の人生を会社に買われている」ということです。
大半の人はお金の奴隷なのです。
奴隷から抜け出すためには、強くなければなりません。
最強に強いのは、自分で一からビジネスを生み出して、お金を稼ぐことができる技術でしょう。
それついては、本書では書かれていません。。。
が、自分で勤め先を選び、転職するために必要な思考法(考え方・ロジック)について書かれています。
大事なのは、複数の選択肢を持ち(強くなり)、自分で意思決定をすること。
それが、人生の満足度を向上させるということですね。
著者は神戸大学経営学部→博報堂(経営企画・経理財務)→BCG→ワンキャリアとキャリアを歩んだため、企業評価や経営からの視点も多いです。そして本書を書いた動機は、“すべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉カードを持てば、結果、今の職場も絶対に良くなると確信している“からだそうです(あとがき より)。そして、それは国をポジティブに変えることにも通づると。
労働力が商品として売買されてからの歴史は大変長く、資本主義社会の構造上変わることはないでしょう。現在は急速に生産性が向上し、特に日本では労働力を含むものの価値が上昇しにくい時代になってきました。その中で、より良い人生を歩むために頭を整理してみるのは良いことかもしれません。頭の整理に役立つロジックがいくつか紹介されている本書は、多くの人におすすめの一冊です。
そのロジックを一つ紹介します。
「仕事における楽しみについて」
人間は、「なにをするか」に重きを置くto do型の人間と「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」に重きを置くbeing型の人間がいるが、99%の人間は後者である。これは価値観の問題であるが、世の中にはto do型の人間が書いた本が多いので後者の人間は混乱する。後者の人間は、人生をRPG(ロールプレイングゲーム)と考えるとわかりやすい。
・主人公が適切な強さで、信頼できる。
・緊張と緩和のバランスが良い環境。
のRPGは面白い。雑魚キャラとボスキャラが交互に現れて、少しずつ主人公が強くなっていくゲームを想像してもらいたい。主人公が強くなるというのは「マーケットバリュー」を高めるということ(本書参照)。そして、良い緊張感を感じる職場で働くということ。
著者は、20代で技術を磨き、30代で経験を積み、40代で人脈を形成すること、そして伸びている(今後伸びる)市場に身を置くことを勧めている。
本書で書かれていることは、決して簡単な優しい甘いことが書かれているわけではないです。実践するためにはそれなりの努力と時間が必要でしょう。しかし、より良い人生を歩むために行動を起こす「覚悟」があるなら本書を手にしてみるのは無駄ではないと思います。気になる方は、一読してみましょう!
PS.
本書は転職者が抱きやすい感情の動きを疑似体験できるように物語形式で書かれています。ですが、どんな思考法が紹介されているのかを要点だけ知りたい人や思考法を再確認したい人はP244~258にまとめがありますので、そちらを確認されるといいと思います。